ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、アカデミー賞最有力との呼び声も高い、映画『ジョーカー』。
バットマンの最大の敵として名高いジョーカーはこれまでも、何人もの名優が演じてきて、特に2008年に故ヒース・レジャーがジョーカー役で凄まじい演技を見せた映画『ダークナイト』はこれまでのアメコミ映画の中の一つの到達点となっています。
すでに傑作と誉れ高い本作を見る前に、『ダークナイト』は予習すべきか、また見る前に知っておくと、より映画が面白くなる見所なども合わせて紹介していきます。
ジョーカー見る前にダークナイトは予習すべき?
映画『ジョーカー』の公開前に、同キャラクターであるジョーカーがとても重要な役割を果たす映画といえば、2008年に公開され、バットマンと宿敵ジョーカーの戦いがクライマックスとなる映画『ダークナイト』です。
『ダークナイト』公開時にはアメコミ映画の最高傑作との呼び声が高く、またヒース・レジャー演じたジョーカーのあまりの狂気演技に、彼の死後、アカデミー賞を受賞したことにより、さらなる伝説的な作品となりました。
では『ジョーカー』を見る前に『ダークナイト』を予習する必要があるかという、見る必要は特にありません!
というのも、今回の『ジョーカー』はDCエクステンデッドユニバースとは関係なく単独で作られた作品ということで、どちらかというと主要出演者の一人であるロバート・デニーロの過去作の方が関係が深い脚本となっています。
ただし、『ダークナイト』も見て損のない作品ですので、ジョーカーそのものに興味が湧いたら、ぜひ見てみてはいかがでしょうか。
ジョーカー見る前に監督が勧める映画2選とは?
監督のトッド・フィリップスがヴェネツィア映画祭のインタビューでも本作への影響を認めていたマーティン・スコセッシ監督、ロバート・デニーロ主演の『キング・オブ・コメディ』と、監督主演が同じ『タクシードライバー』の2本をみていきましょう。
キング・オブ・コメディ
作品名:キング・オブ・コメディ(1983年)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デニーロ、ジェリー・ルイス
<あらすじ>
コメディアンとして成功することを夢見ているルパート・パプキン(ロバート・デニーロ)は、有名コメディアンのジェリー・ラングフォード(ジェリー・ルイス)の番組の出待ちをしている時に熱狂的なファンの群れからジェリーを救い出し、強引に面識を作る。
社交辞令である「事務所にデモテープを持ってこい」という言葉で有頂天になるパプキン。
前から気になっていた女性リタに接近し、連れ立ってジェリーの別荘にも突撃する。
妄想と現実を行き来するパプキンの常軌を逸した行動が一線を超えたとき、事態が大きく動き出す。
タクシードライバー
作品名:タクシードライバー(1976年)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デニーロ、ジョディ・フォスター
<あらすじ>
ベトナム帰還兵のトラヴィス(ロバート・デニーロ)は戦争による不眠症で深夜も働けるタクシー会社に就職。
社交性に欠けており、同僚からも浮いているトラヴィスの趣味は成人映画館に通うことや夜の街を車で流すこと、常に孤独とともにあり、麻薬や退廃的な生活をするニューヨークの若者を嫌悪していた。
ある日トラヴィスは、大統領候補の選挙事務所でスタッフとして働くベッツィーに惹かれ、彼女をデートに誘うも、女性慣れしていないトラヴィスは初デートで成人映画館に入り怒らせてしまう。
ますます不眠症が酷くなるトラヴィス、少女娼婦アイリスとの偶然の出会いがきっかけとなり、彼の狂気を暴走させていく。
ジョーカー見る前に知っておきたい映画のみどころ!
それでは、上で紹介した2本も含め、ジョーカーを見る前に知っておきたい映画のみどころを紹介します。
キング・オブ・コメディとの共通点
トッド・フィリップス監督自らが、キング・オブ・コメディとの影響を認めるだけあり、共通点が多々あります。
- 主人公はコメディアン志望であること
- 母親と一緒に暮らしていること
- 片思いする女性がいること
- お気に入りのコメディショーの大物司会者がいること
- そのコメディショーの大物司会者とコンタクトが取れること
- 現実と妄想を行ったり来たりする性格
細かく見ていくと完全にネタバレになってしまいますが、主人公の造形や置かれた状況など、かなり近しいものがあるようです。
タクシードライバーとの共通点
キング・オブ・コメディと同じくマーティン・スコセッシ監督とロバート・デニーロ主演作としてはこちらの方が有名な作品です。
第29回のカンヌ国際映画祭でグランプリとなるパルムドール賞を受賞した名作でもあります。
こちらの共通点はネタバレを含みますので、知りたくない、という人は要注意です。
- 妄想の入り混じった病的な内容の日記
- 1970年代と思しき時代背景
- オフィスでの印象的なシークエンス(それぞれタクシー会社、芸人派遣事務所)
- 自分の頭を銃で撃ち抜くジェスチャーをする印象的なシーン
- 暴力的な行動をとった結果、民衆から祭り上げられる
また、映画全体を支配するトーンが非常に似た雰囲気となっています。
とにかく、この2本で主演を務めたロバート・デニーロが、大物司会者マレー・フランクリン役でキャスティングされているのはたまりませんね。
バットマンの少年時代
ゴッサムシティを自警活動しているコウモリコスチュームのヒーローといえばバットマン。
そして、バットマンの実の姿は、「ウェイン・エンタープライズ」のオーナーで独身主義者でもある億万長者のブルース・ウェインです。
幼い頃に、父トーマスと母マーサと3人で劇場から出てきたところを、目の前で両親を殺されるという悲劇にあったことが、バットマンとなるきっかけとなります。
今回はジョーカーの母親がトーマス・ウェインのもとで働いていたということで関係があり、ジョーカーと少年ウェイン二人が邂逅するシーンもあり、のちのバットマンとジョーカーだと思うと、感慨もひとしおですね。
アーカム・アサイラム
バットマンシリーズではおなじみ、犯罪を犯した精神病患者を収容する精神病院、アーカム・アサイラム。
基本的にジョーカーもバットマンと対決して捕獲されるとアーカム・アサイラムに入ります。
というのも、バットマンは殺人をしないので、凶悪犯罪でも心神喪失者はアーカム・アサイラムで罰を受けることなく生き続けるというジレンマがあります。
今回のジョーカーでは、アサイラム州立病院という名前でしたが、病院の様子はアーカム・アサイラムに近いものを感じさせます。
ジョーカー見る前に知っておきたい関連作品は?
本編でものちにバットマンになる少年ブルース・ウェインが出てきましたが、ジョーカーはバットマンの最大の敵ですので、ジョーカーがヴィランとして出てくる映画をご紹介します。
バットマン(1989年)
作品名:バットマン(1989年)
監督:ティム・バートン
出演:マイケル・キートン、ジャック・ニコルソン
名優ジャック・ニコルソンが演じたジョーカーが大変な話題となった作品。
ダークでスタイリッシュなアメコミ映画として、ティム・バートンの作家性が活かされたものになっています。
ダークナイト(2008年)
作品名:ダークナイト(2008年)
監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー
ヒース・レジャーが自分を追い込み作り上げたジョーカー像に圧倒される作品です。
この演技により、アカデミー賞の助演男優賞を死後に獲得しました。
スーサイド・スクワッド(2016年)
作品名:スーサイド・スクワッド(2016年)
監督:デヴィッド・エアー
出演:ウィル・スミス、ジャレッド・レト、マーゴット・ロビー
アカデミー賞俳優のジャレッド・レトがジョーカーを演じるも、公開されてみたら出番がほぼカットされてしまったというジョーカー的には悲しい作品
マーゴット・ロビー演じる恋人のハーレクインが圧倒的に魅力的な作品でもあります。
レゴ・バットマン ザ・ムービー(2017年)
作品名:レゴ・バットマン ザ・ムービー(2017年)
監督:クリス・マッケイ
声優:ウィル・アーネット、ザック・ガリフィアナキス
今回のジョーカーの対極にあるとも言える作品。
全編レゴブロックで作られたゴッサムシティを舞台に、ジョーカーがバットマンに「大嫌いな宿敵である」と言わせようと頑張る、ある意味のラブストーリーです。
ジョーカー見る前にダークナイトは予習すべき?監督が勧める映画2選とは?まとめ
ここまで、映画『ジョーカー』に関して、『ダークナイト』は見たほうがいいか、またトッド・フィリップス監督が自らおすすめした2作品や関連作、映画を見る前に知るとより興味が深まる見どころなどを紹介してきました。
米国では、本作の内容によって銃の乱射事件が起こるかも、と米軍が異例とも言える警告を発したそう。
ホアキン・フェニックスが演じたジョーカーの狂気に満ちた存在感があまりにも凄まじく、演技が高く評価されていることも影響されているのかもしれませんね。
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